平成22年1月28日
厚生常任委員会行政視察調査事項
宮崎県延岡市地域医療対策室






(1)経緯
 延岡市内の医療機関は、460床の県立延岡病院のほかは、100床以上200床未満の病院が3施設しかなく、開業医の平均年齢も60歳を超えるなど地域医療体制は非常に厳しい状況にあります。
 県立延岡病院では、新医師臨床研修制度の影響により大学医局への医師の引き揚げが続くとともに、退職等によって消化器内科や神経内科など複数の診療科が休診となっており、市民生活に大きな影響を与えています。
 医師が退職する原因の一つに過酷な勤務環境が指摘されており、医師の疲弊を招く一番の原因は、軽症患者の安易な夜間や休日の救急受診であると言われています。
 延岡市では、この事態に危機感を持った市民団体との協働により、医師確保に関する署名活動や市民に適正受診を訴える啓発活動を展開した結果、時間外に県立延岡病院を受診する患者が平成19年度に比較して平成20年度は約27%も減少し、平成21年度もさらに減少しており、市民の間にも地域医療を守るために自ら行動しなければならないという思いが広がりつつあります。
 これらの活動を一過性のものとせず、地域医療を守り、市民の健康長寿を推進するための施策を市民や医療機関と共に推進するため、平成21年9月29日に「延岡市の地域医療を守る条例」を施行しました。

(2)目的
 この条例は、将来にわたって市民が安心して医療を受けることができる体制を確保することを目的とし、基本理念として「持続可能な地域医療体制を構築するため地域全体で地域医療を守る」ことと「市民自らの健康の維持増進のための努力を基礎として医療・保健・福祉の連携により市民の健康長寿を推進する」ことを定めています。
 さらに、市民には「@かかりつけ医を持つA診療時間内にかかりつけ医を受診し安易な夜間や休日の受診を控えるB感謝の気持ちを持って受診するC検診を受け健康管理に努める」ことを、医療機関には「@患者との信頼関係の醸成A医療機関相互の機能分担と業務連携B医療従事者の良好な勤務環境の保持C検診等への協力」を求めており、市は地域医療を守るための施策と健康長寿を推進するための施策を総合的に推進することを責務としています。

仕分け作業のイメージ図と「仕分け人」の構成

@審議した機関
  延岡市医療問題懇話会
構成 : 延岡市長、宮崎県(医療薬務課長・病院局次長・延岡保健所長・延岡病院長)、延岡市医師会(会長・副会長・救急担当理事)、救急告示病院代表、延岡市歯科医師会会長、延岡市西臼杵郡薬剤師会会長、市民代表(延岡市区長連絡協議会会長)、法人代表(旭化成株式会社延岡支社長)
A手続き
  延岡市医療問題懇話会において条例案要綱を審議のうえ、市長決済を経て、議会に提案

仕分け作業のイメージ図と「仕分け人」の構成
 これは理念の条例であり、条例制定によって医療問題が自然に解決するものではありません。
 地域医療の現状を市民一人ひとりが自分のこととしてとらえ、地域医療を守るために何ができるかを考え、市・市民・医療機関が総力を結集して対処しなければ危機的な状況を回避できないという強い思いを込めた条例です。
 医療関係者の間には、延岡市が医療崩壊地域であるという認識が広く定着しており、市内の病院勤務を敬遠する医師が多くある状況にあります。
 このため延岡市では市・市民・医療機関が共に手を取り合って地域医療を守る活動を展開しているので安心して開業や勤務をしてほしいという思いを全国の医療関係者に伝えることも、条例の副次的な目的の一つであると位置づけています。
 これからは、この条例に魂を込め、地域を挙げて延岡市の医療を守るための様々な施策に取り組むとともに、市民の健康長寿を推進するための施策を医療・保健・福祉の連携により積極的に展開していきます。

仕分け作業のイメージ図と「仕分け人」の構成
 延岡市では、平成20年から安易な時間外受診を抑制する市民啓発を実施していますが、平成21年1月に県立延岡病院の医師の大量退職問題が新聞報道された際に、その事態に危機感を持った市民や団体が「地域医療を守る県北ネットワークの会」を結成し、医師確保のための署名活動(1ヵ月間で15万人の署名を収集)や安易な時間外受診を抑制するための市民啓発に市とともに取り組んでいただきました。
 さらに地域医療を守る県北ネットワークの会の構成団体である「県北の地域医療を守る会」(平成21年1月結成)も市民啓発を継続して行うほか、医師を招いての意見交換会や地域医療シンポジウムの開催、医師への感謝の気持ちを表すための活動を展開しています。

仕分け作業のイメージ図と「仕分け人」の構成
 条例制定後に全国各地の自治体や医療関係者、大学の研究者や医療情報誌からたくさんの問合せをいただきました。
 中でも地域医療を専門に研究し、多数の著書で情報を発信している城西大学の伊関友伸準教授が延岡市を訪れ、地域医療再生に関する様々な助言をいただきました。
 また、県北の地域医療を守る会が開催した地域医療シンポジウムでは、延岡市の取組みに強い関心を示していただいた自治医科大学地域医療学センター長の梶井英治教授においでいただき基調講演をしていただきました。梶井教授は各地で講演していますが、その際には延岡市の取組みをご紹介いただいているとのことです。
 さらに財政破綻した北海道夕張市の市立病院を市立診療所として立て直し、地域に根ざした医療・保健・福祉活動を実践している村上智彦医師から「延岡市の取組みに非常に興味があり、ぜひ訪問して意見交換がしたい。そして可能なら講演がしたい」との申し出をいただきました。
 村上医師の取組みは、多くのテレビ番組で紹介されており、その情報発信力は非常に強いものがあります。延岡市での講演も市民に強い反響を与え、市民が地域医療の現状を自らのこととしてとらえ、地域医療を守るためにどう行動すべきかを考えるきっかけになりました。

仕分け作業のイメージ図と「仕分け人」の構成

@課題
 延岡市では依然として県立延岡病院をはじめ医師会病院などの医師不足が深刻であり、早急な医師確保が強く求められています。これからも県や医師会と連携しながら、良好な地域医療体制の確保に努めます。
A今後の方針
 自治医科大学の梶井教授や夕張診療所の村上医師からは「地域医療を守る取組みは健康長寿を推進する取組みと密接な関係にある。健康意識の高い地域に医師は来る。逆に健康意識の低い地域に医師は来たがらない。延岡市の健康長寿を推進する取組みは、市民あげて強力に推進するべきだ。そうすれば医師は集って来る」との助言をいただきました。
 このため延岡市では、今月、健康長寿推進市民会議の準備会を発足させました。行政主導ではなく市民が主体となって市の健康長寿を推進するためのプランをご検討いただき、でき上がったプランをもとに市民と行政との協働によって健康長寿を推進していくことにしています。







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